「パフォーマーのPR」をテーマに据えた、
全く新しい視点をもった創造団体です。


※2015.12/5,6に旗上げ発表パーティーを開催しました。

 当記事は、登壇した座長・菊地と副座長・朝戸の対談データを元に作成しています。



1. ≪ 何故いま、旗上げなのか ≫

 

都内で3.000~4.000を数えると言われる

数多の劇団、パフォーマンス集団。

 菊地も朝戸も共に20代半ばです。

熾烈な競争に参入するには、「遅い」と言われても決しておかしくはない旗上げです。

 

朝戸 : 菊地さん。僕、ぶっちゃけ遅いと思うんですよ。

 

菊地 : 遅い?

 

朝戸 : 僕も先日24になって、お互い20代半ばです。今から旗上げか、って。

 

菊地 : 俺そうは思わないよ。今だからこそだと思う。

 

朝戸 : というと?

 

菊地 : 演劇の道を目指してると、自分の年齢の感覚って、いろいろズレてくるんと思うんだよね。普通だったらもう、とっくに就職して、仕事も後輩ができて、ある程度、自分の人生設計とか見えてくる。

 

朝戸 : はい。

 

菊地 : 俺たちも、どこかで覚悟を決めないといけない。目標と手段をちゃんと決めて、腹くくらないとね。

 

朝戸 : わかります。でも、もう劇団立ち上げてそれで食ってくって時代でもないですよね。
たとえばCorichでランキング上位になったって、それが何だって正直、思うんです。それで食えるのは、結局は脚本家や演出家が劇団活動の「外」にフィールドを持った時だけですよね。

 

菊地 : 執筆依頼とか演技講師とか?

 

朝戸 : そう。そういう道にいける人はもちろん素晴らしいのだけど。ただ、そこに行くための「手段」に、わざわざ劇団やることもないはずです。むしろフリーの方が動きやすいし、依頼も受けられます。変なイメージがないので。

 

菊地 : それが「目的」だと誰が言った笑

 

朝戸 : 違うんですか笑

 

菊地 : 言いたいことはわかるし、事実だと思う。劇団が売れても、役者は食えない。客演なんてほんとにただのお客さんだしね。

 

朝戸 : そう。一過性の公演を回すためにノルマを課したり。現状、小劇場の役者って、必要なスキルというより「保障」という意味合いが強いような気がします。極論ですけど。

 

菊地 : だからこそだよ。だから、この年になって、この年になった仲間と何ができるか考えたら、「そうじゃない劇団」があってもいいじゃないのって。

 

朝戸 : つまり?

 

菊地 :「役者のPR」の場としての作品、空間をつくる劇団。

 

朝戸 : なるほど。

 

菊地 : 演劇人はみんな、演劇という表現媒体の広がりにどこか行き詰まりを感じてると思う。

 

朝戸 : 市場価値がないからね、当然だとは感じます。たとえばアングラの時代は、人々の問題意識が一つに向かっていました。経済や政治について。創作における問題意識やテーマが共感・共有されやすかった。でも今は違います。人々の問題意識はどんどん没個性になっていってる。周りの芝居をみても、その作り手の個人的なコンプレックスの範疇を出ていない場合が多いと思います。つまり演劇は、潜在的なファンの数がどんどん少なくなってる。芸術って得てしてそういうものかもしれませんが。

 

菊地 : 世の中が安定してたら芸術はいらない?

 

朝戸 : 極論ね。

 

菊地 : そういう小劇場の状況を打破するのは、たぶん、脚本家でも演出家でもない。「役者」、ないしは「パフォーマー」だと思ってる。

 

朝戸 : つまり?

 

菊地 : 作り手の夢に共感できなくても、いつの時代だって人は「人」に共感できるでしょ。

 

朝戸 : うん。

 

菊地 : だからこそ、「作り手のための役者」じゃなくて、「役者のための作り手」という構造が必要だと思う。その役者の夢をお客様と一緒に支えていく劇団、空間。その役目は小劇場と芸能界との断絶を考えても、いま必要なんじゃないかって。

 

2. ≪ 小劇場と芸能界 ≫

鍵は集客。

 

綺麗事をいっても、変わらない。

小劇場の演劇人に必要な考え方を

模索する。

 

朝戸 : 小劇場と芸能界という分け方と、その断絶については、よく分かります。僕自身、プロダクションでディレクターしながら、いろいろ見えてくるものがあって。

 

菊地 : うん。

 

朝戸 : いい芝居をすれば、スキルが高ければ、いわゆる「上」のステージに立てるかというと、決してそんなことはないんですよね。

 

菊地 : 俺らが見てる映画とかドラマも、みんなめっちゃ上手いかというと、決してそんなことないもんな。

 

朝戸 : そう。よく引き合いに出されるけど、アイドルとか読者モデルとかも演技の世界にいるよね。やっぱりスキルじゃないと思うんです。アイドル、モデルならまだしも、スポーツ選手とか政治家なんかが起用されることを考えると、なおさら理由にはなりません。

 

菊地 : お前はなんでだと思うの?

 

朝戸 : ひとえに集客です。

 

菊地 : 夢がないなー。

 

朝戸 : だって芸能界自体、夢なんかじゃないですから笑 お仕事です。お金にしないといけない。

 

菊地 : うん。

 

朝戸 : いい芝居がしたい、演技を追及したい。その先には、ああいうステージはないんです。もちろん、そうやって自分の芸術性を高めながら行ける人もいるでしょうけど。

 

菊地 : ごく一部だね。

 

朝戸 : はい。別にそれを夢みつつ頑張るのもいいと思うんです。でも、知らず関せずでいるのと、自分で「選択」するのとでは違うでしょ? ここが分水嶺です。やりたいこと100%でなくとも、たとえば芸能事務所などの手段を使って、マネジメントを受けながら、少しずつ必要とされる人材になっていくんです。

 

菊地 : 必要とされる人材って?

 

朝戸 : お金になる人。

 

菊地 : まぁそうなるよね。その理屈でいくと、「お客様に必要とされる」じゃなくて、同業者というか、「芸能界にとって必要な人材」にならなきゃいけないってことだよね。

 

朝戸 : そうです。だからこそ、集客なんです。だって芸能界は、「いい作品創ろう」じゃなくて「お金になる作品創ろう」だから。


菊地 : だいぶ極論だと思うがなあ。

 

朝戸 : そういう側面もあるって話です。別に小劇場の役者がみんな、そこまでガツガツやってく必要もありません。趣味でやったって全然いいと思う。だけど、最初の史恩さんの話じゃないけど、それで食べていく、仕事にしていくなら、「芸術家」としてじゃない考え方、動き方に腹をくくるってことが、大事なのかもしれません。

 

菊地 : そうだね。まぁ、あくまで俺は俺のやりたい作品をやってくけどね。そっちの脳みそはお前に任せる。

 

朝戸 : 僕がなんぼのもんですか笑 一人じゃ無理です。史恩さんと僕だけでも無理です。関わってくれる役者ももちろん、その役者を応援してくれてるお客様も総動員で考えて、動かなきゃいけない。

 

菊地 : うん。

 

朝戸 : 僕自身が、「芸術家じゃない脳みそが必要」と分かって、役者の道を一度はそれた人間です。でももし、小劇場という空間が、そこにいる作り手(=劇団)が、そういう考え方をもって動くなら、もっと別の切り口で小劇場から芸能界へのパイプなり階段なり、「手段」が見えてくるような気がしますね。

 

菊地 : 俺は芸能界がどうのって話はよく分からないけど、単純に、役者の友人や仲間が動きやすくなればいいなと思うのよ。単純に売れてほしいじゃん。だってそこらの俳優よりずっといい芝居するもん。

 

朝戸 : だからね、笑

 

菊地 : わかってるって。一番いいのは小劇場にいながらでも食えることかもしれんけどね!

 

朝戸 : それはどうかなぁ。マイナンバーとかあるしなあ。

 

菊地 : そういうのはよく分からん笑

 

3. ≪ テーマは「パフォーマーのPR」≫

 

 

パフォーマーのPR」を主眼に据えた、

八焔座ならではの告知展開、

新しいチケットシステム。

 

「作品」でなく「役者」を見る

舞台の可能性。

 

菊地 : いろいろ話してきたけど、結局おれらのやりたいことって、一つだと思うのね。

 

朝戸 : というと。

 

菊地 : 救われたいやん。笑

 

朝戸 : なんですかそれは笑

 

菊地 : いやマジで。俺らの作品や活動が、ちょっとでも人の支えになるなら、俺らにとっては一つ救いだろ。

 

朝戸 : はい。だから僕は、「浄化」とか「広がり」って意味で、名前に「火」の感覚が欲しかったんです。

 

菊地 : お前が言うと「炎上」って感じするよな笑

 

朝戸 : すべて覚悟の上です。

 

菊地 : 俺も同じ意味合いを持つ「8」って数字を持ち寄ったわけで。

 

朝戸 : はい。

 

菊地 :「八焔座」がお客様とどうあるか、その俺らが、「役者」とどう関わりあっていくかが大事だと思う。

 

朝戸 : 史恩さんの話だと、「お客様が役者を見る」ための空間を創っていくってこと?

 

菊地 : そうね。それが俺の作品上だとなお良し。

 

朝戸 : 演出家として役者の特性を引き出して最大限魅せる、腕の問われ所ですね笑

 

菊地 : まぁ、そこは見てもらうまでお楽しみということで。

 

朝戸 : 結局、なんだかんだいっても「作品」は必要なわけですから。ただ、お客さんが何を見るかは自由です。僕は「八焔座」を、お客さんが「作品でなく役者」を見に来る空間にしていきたいです。それが映像にない、舞台の魅力でもありますから。主役が喋っててもアンサンブルを追っかけることができる。

 

菊地 : そんなに特別なことは言ってないと思っていて。

 

朝戸 : はい。どこにだって当たり前に「役者扱い」フォームがあるわけですから。ただ、僕はその意味合いを強くして、お客様と全体感をもって本番を迎えたいと思ったんです。それで、今回のシステムを作りました。

 

菊地 : 役者窓口によってチケット料金が違う。

 

朝戸 : はい。

 

菊地 : 思い切ったね。

 

朝戸 :「焔」が「炎上」の意味にならないことを祈ります笑 役者がお客様をお呼びした分だけ、チケットが安くなっていく仕様です。最終的には20人の集客で半額にまで下がるようにしました。

 

菊地 : 集客状況を開示するのもその一環?

 

朝戸 : はい。

 

菊地 : 思い切ったね笑

 

朝戸 : 僕自身も役者なんで、本当に恐ろしいですよ。やりたかったのは、お客様によって値段が違う、つまり、見るものが違う、ということだったんです。それをシステムとして表現した上で、本番の意味を見据えたかった。

 

菊地 : 本番の意味って?

 

朝戸 :「結果」を見せる場所です。それも、芸術的な意味でない方の、役者としての成果です。だからこそ、「過程」である集客状況の開示と、それによるチケットの変動に目を向けました。

 

菊地 : 稽古を生放送するのとは、意味が違うわけね。

 

朝戸 : その通りです。

 

菊地 : 俺にとっての「結果」はやっぱり作品だけどね。何を言っても面白くなきゃしょうがないわけで。

 

朝戸 : それも、もちろんです。せっかく二人いるんで、違うアプローチでやっていきましょう。

 

4. ≪「八焔座」始動。≫

 

 

 

勝負は最初の3年間。

 

目標は、6人の役者だけで

吉祥寺シアター、ロングラン!

 

菊地 : やるからには、何があっても3年は続けたいね。

 

朝戸 : はい。何事も3年やらなきゃ、分かりません。

 

菊地 : 火の車になってたりして笑

 

朝戸 : いや、全然わらえませんよ。

 

菊地 : 挑戦するなら、覚悟ですな。

 

朝戸 : しかしこの目標、結構なハードルですね。もちろんノルマなんて課さないでしょ?

 

菊地 : それは当然。ちゃんと役者にも持って帰ってもらわないと。

 

朝戸 : そうですね。100人呼んだ役者が2万も持って帰れないようなシステム組んじゃダメだと思うんです。

 

菊地 : そこら辺は君に任せてるよ。俺は笑いながら良いもの創っていくだけです。

 

朝戸 : これだけ言って作品つまらなかったら洒落じゃすまないですからね。頼みますよ本当に。

 

菊地 : お前も出演するの。

 

朝戸 : 死ぬかもしれん。

 

菊地 : 死ぬ気で生きよう笑 よろしく。

 

朝戸 : はい。よろしくお願いします。

 

 

 

※チケットシステムの詳細については、ナビゲーションの「TICKET」をご覧ください。

 

 今後とも「八焔座」を、どうぞよろしくお願い致します。  副座長 朝戸佑飛